酒はタバコと同じ運命を辿るのか?世界で強まる愛酒家への風当たり

隔離された狭い飲酒スペースで、冷えたジョッキグラスを持ち上げる。口をつけ、ごく、ごく、と勢い良く喉に流し込むと仕事の疲れが泡と一緒に一気に弾けて消えるようだ。しかし、肩身が狭くなったものだ、と思う。税金が上がり、今や缶ビール一本でも500円だ。酒を飲むと言えば周りからはなぜまだ辞めないのか責められ、周囲にバレるほど酔っ払った日には「この世のゴミ!」と言わんばかりに眉間にシワを寄せギロリと睨まれる。これではまるで犯罪者のような扱われ様だ。いつからこんなことになってしまったんだろう。

愛酒家にとって、こんな日はいつか来るのだろうか。

かつての愛煙家の中で、今のような時代が来るなんて想像した人はどのくらいいただろうか。飛行機の中でも、会社でもタバコが吸えた時代。きっとタバコを吸うことはカッコイイことだった。

それなのに、時代の流れとともに人々の価値観は変化した。

自他への健康への害となること、匂いなどが強いことなどが大衆から好まれなくなり、公共の場でタバコを吸えなくなった。喫煙者はみんな狭い壁の中でぎゅうぎゅうに押し込められ、まるで見せしめのようだ。愛煙家にとっては文字通り肩身の狭い時代になった。今年7月1日には受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が施行され、役所や病院、学校などからは灰皿が撤去され、喫煙所も閉鎖された。

同じことが、愛酒家たちを取り巻く環境にも起こるかもしれない。

世界的に、愛酒家への風当たりが強くなっているのだ。

ミレニアル世代でのノンアル派拡大は世界トレンドになっている。少し前に「私はノンアルコールで」と言えば周りから「妊娠したの?」「ダイエット?」「体調が悪いの?」などと質問攻めにあったであろうが、今はそれを個々人の自然な選択として受け入れる土壌ができた。一気飲みや多量飲酒をしなければいけないというプレッシャーもほぼ見られなくなり、クールで美味しいノンアルカクテルや飲料の選択肢も広がった。逆に、昨日の夜何をしていたか覚えていないことが学生たちの間でクールではなくなった。酔っ払いすぎて何をしているのかわからなくなったり、二日酔いでぐったりしているのも、ソーシャルメディアでバレてしまう。それよりもノンアルカクテルを飲みながらおしゃれな仲間と意味のある話をして、翌朝早く起きてジムで筋トレをする方が100倍スタイリッシュだ。

国内でもノンアル派は増えている。その理由は次の通りだ。

株式会社コンプライアンスが今年10月1日に発表した、酒を飲まない20~40代の会社員を対象にした「お酒の席」に関するアンケート調査結果によると、お酒の席に参加したいと思わないと答えた人は88.1%に上った。また、参加したくないと思う理由トップは「お酒を飲まないのにお金が無駄にかかる」が32.9%、「上司や周りに気を使う」が22.8%、「飲めないからつまらない」が21.3%。

また、お酒の席で一番面倒だったこととして、「酔いつぶれた人の介抱を頼まれたこと」(愛知県/40代/女性)、「酔った勢いで周りがケンカし始めた時」(兵庫県/30代/男性)などの経験が寄せられている。

お酒を飲む人に求めることを聞くと、「酔っぱらい過ぎないでほしい」が41.1%でトップ。以下、「飲まない人に気を使ってほしい」が21.7%、「割り勘にしないでほしい」が17.3%、「自分が飲まなくても楽しい環境をつくってほしい」が16.2%と続いた。

二日酔いの人に思うことは、「迷惑」が36.9%で最多。次いで「翌日まで引きずらないでほしい」が22.6%、「近づかないでほしい」が15.8%となった。

マナーの良い飲酒習慣が広がることで、愛酒家にとってもノンアル派にとっても楽しいお酒の席が増えることが望まれる。